原田マハ 一分間だけ

一分間だけ (宝島社文庫)

一分間だけ (宝島社文庫)

○内容?
女性雑誌の編集者である神谷は、津村というパートナーとともに
ゴールデンレトリバーのリラと暮らす。
リラはペット特集を組んだ時に、ペットショップから
間もなく殺される犬をもらってきたものだ。
そのために都心から郊外にも引っ越した。
リラの朝の散歩以外は、津村が担当している。

ある日、津村はほかに好きな人ができ、二人は別れる。
リラは神谷があずかることになった。
だが、生活が不規則になり、リラを十分に飼えない。
仕事も中途半端になりかけ、
神谷がリラにあたってしまう。
一瞬でも しんでしまえばいいのに
と思ってしまう。

しばらくしてリラは本当にガンとなり
手の施しようがなくなる。

そこで神谷ははじめて何が大切か気が付く。


○感想○
まず、最初の冒頭の文章から泣ける。
私がゴールデンを飼っているからかもしれない。
しっぽがゆらゆら揺れること、
散歩のときに眺める青空の広さ
冬の朝の空気の爽快さ
夏の風の匂い
いろいろなことを思い出し、それだけで泣けてしまった。

犬と歩くということは、どんな素敵なことか知ってる?
といろんな人に問いたくなる。
小型犬と大型犬じゃ、違うんだろうなあ。この感覚。

最初に暮していた犬が病気になったとき、
私も願ったな。
いろいろと後悔したな。

一緒にいた時間が少しでもあの子にとっても
幸せな時間であったようにと
今更だけど願わずにいられない。

本の内容に泣けたのか、
自分の思い出に泣けたのかわからないけど、
思い出させてくれてありがとうと作者にはいいたい。

ゴールデンの散歩のときの文章は
きっとみんな(ゴールデンの飼い主なら)が泣きたくなるような
素敵な章だった。