明日の記憶

明日の記憶

明日の記憶

○あらすじにもならないあらすじ○
広告代理店で部長を務める佐伯は、今年50歳。
最近、目眩や頭痛があり、物忘れも激しい。
病院に行ってみると、若年性アルツハイマーだと言われる。
佐伯の父もまた、若年性アルツハイマーで亡くなったのだった。


結婚を控えている娘や、同僚には内緒で
メモや忘備録としての日記をつける。

だが、日に日に記憶は曖昧になり、仕事にも支障がでる。

記憶障害につけこまれ、趣味の陶芸の先生にもだまされる。


食事療法や、あやしげなネックレスを買い、必死に妻は支える。


○感想○
アルツハイマーがどんなものかわかってなかったぶん、
衝撃的だった。
陶芸教室講師のくだりなど、胸が痛んで仕方なかった。

自分の家へ帰れなくのなんて、どんな恐怖だろうか。
記憶を失う。
それは自分を失うのに等しいのではないか。
愛する人の顔も忘れてしまうなんて、悲しすぎる。


ただ、言葉で並べると軽いけど
この小説を読むと、ずしっとのしかかってくる。


それでも
タイトルに「明日」を入れたところに、
この佐伯夫婦の未来が明るいことを祈りたい筆者の気持ちが
あらわれているのかもしれない。




最後に奥多摩に行く章では始終涙があふれていた。