明日の記憶
- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/10/20
- メディア: 単行本
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○あらすじにもならないあらすじ○
広告代理店で部長を務める佐伯は、今年50歳。
最近、目眩や頭痛があり、物忘れも激しい。
病院に行ってみると、若年性アルツハイマーだと言われる。
佐伯の父もまた、若年性アルツハイマーで亡くなったのだった。
結婚を控えている娘や、同僚には内緒で
メモや忘備録としての日記をつける。
だが、日に日に記憶は曖昧になり、仕事にも支障がでる。
記憶障害につけこまれ、趣味の陶芸の先生にもだまされる。
食事療法や、あやしげなネックレスを買い、必死に妻は支える。
○感想○
アルツハイマーがどんなものかわかってなかったぶん、
衝撃的だった。
陶芸教室講師のくだりなど、胸が痛んで仕方なかった。
自分の家へ帰れなくのなんて、どんな恐怖だろうか。
記憶を失う。
それは自分を失うのに等しいのではないか。
愛する人の顔も忘れてしまうなんて、悲しすぎる。
ただ、言葉で並べると軽いけど
この小説を読むと、ずしっとのしかかってくる。
それでも
タイトルに「明日」を入れたところに、
この佐伯夫婦の未来が明るいことを祈りたい筆者の気持ちが
あらわれているのかもしれない。
最後に奥多摩に行く章では始終涙があふれていた。