名もなき毒 宮部みゆき

名もなき毒

名もなき毒

○内容○
大きな会社の会長の娘婿となった杉村は社内の広報誌を作成する編集部にいる。
その編集部で雇ったアルバイトは仕事もできず、経歴も嘘をついていた
とんでもない女だった。
その女の過去の事件を調べるために訪れた私立探偵の家で、
彼は話題になっている連続殺人事件の被害者の孫に会う。


○感想○

誰にでも、原田いずみのように毒を体内に抱えている。
それを出すかどうかは別にしても。



私なんて、きっと小出しにしているから、性質が余計悪い気さえした。



この毒はいったいどこから発生するのだろう?
誰にでも持っていて、それが発芽するか否かの問題なのだろうか?
毒、怒りは沸々とわいてきて、たまにどうしようもなくなる。
いずみのように、生まれついて、幸せな人たちがどうしようもなく
嫉ましくうらやましくなることも多々ある。
だからといって、何か行動には起こさないけど
態度や言葉の端々には出ていることもあるだろうな。



私は以前、ここに書きつけている読書の感想(桐野夏生の作品)のなかで
怒り
についてちょこっと書いたけど
この怒りって
所謂この『名もなき毒』なわけであって
それは
ただ単に
自分のことは棚に上げて
他人を嫉む妬む僻むと言った
非常に恥ずかしい種類のものなのかもしれないと思ったら
非常にやるせなくなった。




私もこの毒の名前が知りたい。
解毒剤があるなら、ほしい。
自家中毒を起こしているような状態だから。




自分で毒を生み出しているのだとしたら
解毒剤も自分の中から生み出せるのだろうか?